| ■気持ちの在り方&こんぺいとうコラボ企画! ジャンボパフェと牛の涙(仮題) ■ 二人の男が、隣同士の席に腰掛けている。 一人は長身。人工的な金色がかった茶髪である。がっしりとした体躯は、繊細とか、美しさとか、そういった言葉とは縁遠そうな、むしろ男臭さが滲んでいるような男だ。 一人は中肉中背、と言うには少々線の細い感がある。こちらは逆に繊細な美しさ、と言う言葉が当てはまるような美青年、いや、美少年と言った方が、年齢的にしっくり来るだろうか。 色素の薄い髪の毛と瞳が印象的な男である。 二人は何故か、見ようによっては憮然とも取れる様な表情で、事の成行きを見て・・・・いや、眺めていた。 「・・・おい、少年」 半眼のまま問う長身の男。その口調からは、幾分の倦怠感すら漂っている。 「・・・岡崎です」 やる気の見えない問いかけに対し、やはりどこか疲れた様な口調で返すもう一人の男。 「岡崎少年」 「・・・・・・・何ですか」 「これは一体何がどうなってるんだ」 長身の男は、ポケットから煙草を取り出し、器用に片手で火をつける。 ジッポーオイルの焼ける匂いが、辺りに一瞬漂う。 「・・俺に聞かないで下さいよ」 うんざりした口調である。 そのまま、自らの右隣に腰掛ける男を見上げ、 「こっちが聞きたい位ですってば」 「だよなあ・・」 二人は仲良く、頬に一筋の冷や汗を伝わらせたのだった。 ◇ 「どれにしようかなあ・・・」 買い物カゴを手に、ぶらぶらと店内を歩く一人の少女。 「靴下とかも、結構くたびれてたし」 ぷつぷつ呟きながら、カゴにぽいぽい品物を投げ込んで行く。 どう見ても男物を、である。 パンツやら靴下やらTシャツやら、結構な量を入れたカゴを抱えて店内を歩いている。 ―――あ。 心の中で小さく声を上げる。 彼女の目に留まったのは、ロゴ入りのピンクのシャツ。 「かわいー!」 思わず口に出して言ってしまい、自分が今日一人で来ている事を思い出し、頬を染める。 そのままばっ、と手を伸ばし、例のロゴ入りシャツを掴もうとした。 瞬間。 むぎゅ。 彼女の手を、伸びてきた一回り大きな手が包み込んだ。 「へ?」 「あ?」 同時に、間の抜けた声を出す。 「わー!ご、ごめん!」 手を掴んだ方の声の主の若い男が、真っ赤になって大慌てでその手を引く。 が、焦りのあまり、彼女の手を掴んだままであった。 「きゃう!」 勢い良く引っ張られる形になった彼女は、バランスを崩してたたらを踏み、その男の腕の中に倒れ込む。 「ごごごごごめん!!大丈夫!?」 真っ赤になってうろたえているその男は、彼女を腕の中から引き離すと、勢い良く頭を下げた。 「大丈夫!どこも怪我してないし!」 彼のあまりの動揺っぷりに、逆に恐縮してぱたぱた手を振る。 「それが、すごく可愛かったから、勢い余ってつい――」 言ってぽりぽりと頬をかいた。 彼の視線の先には、先ほど彼女が手に取ろうとした服があった。 「あ。これね、あたしも可愛いと思った!」 そう言って彼女はにっこりする。 彼の顔が、見る間に再び興奮の色に染まり、 「あ―――!」 と、店内に響く様な声で叫んだ。 驚きで目を丸くしている彼女に、彼は嬉しさ満面の人懐こい笑みを浮かべながら、 「おそろいだ!」 と言って、指を差してにっこり笑った。 「あ、本当だ」 彼女もつられてにっこり笑う。 二人が着ている服が、偶然にも同じメーカーの同じカタのものだったのだ。 「仲良くなれそうだね」 「うん!」 そう言葉を交わす二人の間には、何か常人には理解しがたい空気が漂っている。 彼はにこにこしたまま、先ほど手を伸ばしたシャツを持ち、彼女も同じものをカゴに追加して、二人は仲良くレジに向かったのだった。 ◇ 喫茶店である。 広い店内の、窓側にある四人掛けのテーブル席である。 そこに何故か、この一種異様な四人が座していた。 「何なんだこりゃ」 切れ目の瞳を見開いて、待ち合わせ場所に辿りついた男、川橋千影の第一声がこれだった。 無理も無い。 彼の娘分の高梨輝愛から、仕事明けの千影の携帯に連絡が入り、呼ばれた場所まで来たのは良かった。 が。 そこには見慣れた娘分の姿と、 見知らぬ男二人。 しかも男の片割れは、にこにこしながら彼女の隣の席を陣取っている。 千影はいささか間の抜けた声を漏らすのも、無理からぬ話だった。 ぼーっと突っ立ってても埒が明かないと悟ったのか、空いている唯一の席にどかっ、と腰掛ける。 目の前では、輝愛と片割れが楽しげに会話をしている。 ――思考が追いつかん。 と言った風に、わずかに目を細め、自らの隣に気まずそうに座るもう一人の男に声をかけた。 「・・・少年」 「・・・岡崎です」 名前があるんだ、と言わんばかりに、彼、岡崎莉紗都は不機嫌そうに言った。 「岡崎少年」 「・・・・・・・何ですか」 この場に居たくない、と言う雰囲気を、無理やり押し殺した様な口調の、岡崎と名乗った少年。 年の頃なら十七の輝愛と差して変わらないだろう。 そんな事を思いながら、千影は煙草をふかす。 「これは一体何がどうなってるんだ」 ふう、と煙を吐き出す。 隣に座るこの少年にかからぬよう、通路に向かって。 「・・俺に聞かないで下さいよ」 最早困り切った様な口調である。 そのままこちらを見上げ、ため息をつくように言った。 「こっちが聞きたい位ですってば」 「だよなあ・・」 事態の飲み込みきれない千影だったが、それ以上に何だかこの少年のあまりの哀れな雰囲気に、苦笑した声を漏らした。 「でね、輝愛ちゃんもね、俺と同じ趣味だったの」 黒髪に濡れたような色を持つ独特の強さを持った瞳。 中肉中背の、羽柴潤は元気良く話しかける。 「そうなの。潤ちゃんとすぐに仲良くなれたんだよね」 「ねー」 「ねー」 にっこりと微笑む少女が、高梨輝愛である。 千影の娘分であり、川橋家の居候である。 にっこにこしながら、きゃいきゃい話す二人。 ―――何だか台風みたいだな。 千影は一人、密かに肩をすくめた。 「ねー、ちー。聞いてる?」 潤が身を乗り出して口をとんがらせる。 どうら、何か話し掛けていた様だが、当の莉紗都の耳には届いていなかった様である。 「ちー?」 千影が『何のことだそれは』と言わんばかりの顔で潤を見る。 それに気付き、千影に向かって答える潤。 「名前が『ちさと』だから、ちーって呼んでるの。ね、ちー」 「・・・」 彼の言葉には答えずに、ムスっとしたままグラスの中の水をあおった。 その二人の様子を眺め、千影は何やら考え込む。 べつに莉紗都の名前とか、呼び方なんてのは、今やどうでも良い事で。 千影は口元に手を置いて、しばし、そうと悟られないように潤と莉紗都を見つめる。 ―――あ、そーゆー事か。 しばらくの後、千影は一人で納得する。 そして小さく苦笑した。 「ご注文はお決まりですか?」 莉紗都がたん、と音を立てて空になったグラスをテーブルに置いたのを合図にしてか、ウエイトレスが声をかける。 「コーヒー」 千影はメニューを見もせずに言い、莉紗都に目線を移し、 「ちー、お前は?」 「莉紗都です」 「ちーは何が良い?」 「莉紗都です」 眉間の辺りを痙攣させながら、トゲトゲしい口調で答えるが、千影は全く無視である。 「コーヒー、二つにしといて」 勝手に莉紗都の分までオーダーを終え、輝愛に『お前らは?』と目だけで聞いた。 瞬間、潤が勢い良く手を挙げて、 「俺、ジャンボパフェの一番おっきいやつ!」 「あたしも!」 負けじと輝愛も手を挙げる。 二人の言葉を聞くや否や、千影はげほっ、とむせて笑い出し、莉紗都はこめかみの辺りをぴくぴくいわせて引きつった顔でそっぽを向いた。 ウエイトレスは困った様な顔で、 「・・・申し訳ありませんが、『ジャンボパフェ』と言う時点で、当店で一番大きいサイズなんですが・・・」 至極当然なウエイトレスの答えに、 「じゃあ、ジャンボショートケーキのLサイズは?」 「それもちょっと・・・」 困り果てるウエイトレスに、千影は横から助け舟を出す。 「ジャンボパフェ、二つで」 「かしこまりました」 おじぎをして去って行くウエイトレス。 その姿を確認してから、千影は目の前に居る、妙に雰囲気の似た二人を見つめ、 「お前ら、ある意味天才だな」 苦笑しながら煙草をふかした。 「誉められちゃった」 「ね」 嬉しそうに見詰め合ってにこにこしている。 皮肉である事にカケラも気付いていないのが、この二人の場合、幸せなんだろう。 ――誉めてない!全然誉められてない! 莉紗都が未だ険しい表情のまま、心の中で突っ込んでいた。 ◇ 「そうだ!」 輝愛がこぶしをぽん、と叩き、千影に微笑み、 「カワハシにいっぱい買って来たよ」 嬉しそうに言って、ごそごそと袋の中を漁る。 「何買ったんだ?」 「んっとねー、靴下でしょー、パンツでしょー」 パンツと聞いて莉紗都が一瞬目を剥く。 男の下着を臆面も無く買う少女に驚いただけだったのだが。 そんな莉紗都を気にかけることも無く、輝愛は続ける。 「あとねー、かわいーシャツ♪」 言ってペロン、と千影の前に掲げた。 赤地の、ごくありきたりな形の半そでのTシャツである。 ただ一点、プリントされている字を除いては。 「・・・・何だこれは」 千影はしかめ面をし、ソレに顔を近づける。 「カワハシにぴったりだと思ったのー」 莉紗都はそのロゴを見るなりテーブルに額をしたたかに打ちつけ、千影は煙草を取り落とした。 「最高でしょ?コレ♪」 にっこにこしている輝愛の手の中にあるTシャツに、妙に流暢な字でプリントされていたのは、 『女体盛り』の四文字だった。 千影が、声を上げて笑った。 彼の笑い声をよそに、潤も何故か嬉しそうに莉紗都に微笑みかけ、 「あ、俺も買って来たよ」 「・・・・・・・・・・・・・・・・何を」 明らかに怯えている莉紗都をよそに、潤も袋からシャツを取り出し、莉紗都の眼前に突き出す。 「ちー、派手なの好きじゃないでしょ?だからシンプルなのにしたの」 潤の手の中の物を見て、再び千影が笑い出す。 白地の半そでのTシャツの、胸の部分にプリントされた渋いグリーンの渦巻模様。 その下に、申し訳程度に書かれた 「かとりせんこう」の文字。 莉紗都の頬を、一筋の雫が伝って落ちる。 「まさかこれ・・・・着ろとか言うのか・・・?」 「え、イヤだった?」 頬や眉間をぴくぴくさせながら、泣きそうな声を絞り出す。 それに対し、潤はさも以外、と言ったような口調である。 ―――なんでこんなもんが市販されてるんだ!おかしいだろ! 莉紗都は心の中で絶叫する。 目の前で仲睦まじくじゃれあっている二人を見て、莉紗都は再び心の中で叫んだ。 ―――神様、この二人をめぐり合わせた事、心から恨みます!! 莉紗都は人知れず涙するしかなかった。 ◇ 「お待たせいたしました」 ウエイトレスの声がして、テーブルにコーヒーとパフェが置かれる。 子供の様に目をきらきらさせて、二人仲良く「いただきます」と言ってパフェを食べ始める。 その姿を見つめながら、千影は隣の莉紗都にしか聞こえないような低いトーンで呟く。 「しかし、ちーよ」 「何ですか」 『莉紗都です』と言い直そうかとも思ったが、この男には無意味な抵抗なので止めておいた。 「あいつら、似てると思わねえ?」 あいつら、とは当然、潤と輝愛の事である。 ―――確かに、 莉紗都は内心うなずき、考えたくない想いに支配されそうになる自分を嫌悪した。 「・・・・傍から見てれば、恋人同士みたいですしね」 感情を、消してしまったような声音だ。 彼には、潤には、こんな未来の方が良いのかも知れない。 こんな風に、普通に女の子と付き合って、結婚して、そんな未来の方が―― 自分で言った台詞に、内側をえぐられる様な感覚に陥る。 が、横からかかった声に、その想いも一瞬にして吹き飛んでしまった。 「恋人かあ・・・俺には恋人なんかより、五歳児位の双子の姉妹みたく見えるぞ」 大学の教授だって、今時しないようなしかめっ面で腕を組み、でも楽しげな瞳で二人を見ている。 五歳児の双子の姉妹・・・・ 言われて莉紗都も二人に目線を動かす。 嬉しそうにパフェをほおばる二人。 屈託の無い笑みで、揃いも揃って口の横にクリームを付けていたりする。 ―――確かに。 クスっ、と莉紗都は小さく声を漏らして笑った。 千影が、無言で莉紗都の頭をぽん、と軽く撫でた。 『ちゃんと笑顔になれるじゃないか』とでも言う様に。 ◇ 「ほれ、トーイ、ついてるぞ」 千影は手を伸ばして向かいに座った輝愛の口元についたクリームをすくって舐める。 「あ、あたしのクリーム!」 「せこいよお前」 二人のやり取りを、微かに頬を染めて見ている莉紗都。 最も、本人達は「親子」と称してはばからいないのだが。 知らぬ人間が見たら、ある意味見せ付けられている感が無くも無い。 実際の所は、「かいがいしく世話をする親猫」と、「世話をかける子猫」のような関係ではある。 「何だよ、ちー」 千影が彼の視線に気付いて、意地の悪い笑みを浮かべて問いかける。 「いや・・・」 急いで視線を逸らす莉紗都に、 「お前もやってやれば?潤、トーイよりクリーム付けまくってるぞ」 顎でクイっ、と潤を指す。 見てみると、確かに潤の口の周りには、輝愛よりたくさんクリームが鎮座している。 「ヤです」 きっぱり答える莉紗都に、しかし千影は 「じゃ、指じゃなくてそのまま舐めてやったら?」 「な!なんでそんな事!!」 莉紗都が真っ赤になって叫び、面白がって潤が加わる。 「あ、それ良い!ねー、ちーやって♪」 潤が顔を突き出してくる。 莉紗都はそれを手で押し返して、 「ヤダって!」 「なんでー?俺達恋人でしょ?」 潤がふざけたまま、ものすごい事を言った。 莉紗都は一気に血の気が引く。 小刻みに身体が震えているのが、自分でも良く分かった。 当の潤は、自分が何を言ってしまったか分かっていないらしく、輝愛との談笑に戻っていた。 ―――マズイ 莉紗都は千影を伺うようにそろりと見上げた。 どんな目で見られるだろう。 汚いと罵られるのか。 気持ち悪いと嫌悪されるのか。 絶望の表情のまま硬直していると、 ―――ぽん 千影が先ほどの様に、莉紗都の頭を軽く撫でた。 「――え?」 小さな呟きを漏らす彼に、千影は例の意地悪そうな笑みを浮かべ、莉紗都に小さく耳打ちする。 「見りゃ分かるって」 「何で!?」 「そりゃ、年の功より亀の甲ってなもんだ」 驚愕する莉紗都に、苦笑した様に眉を寄せて笑う。 「いいじゃねーか、可愛い恋人で」 言って千影は再び煙草に火をつける。 そしてそのまま目だけで潤を見て、莉紗都に視線を落とし、文字通り、目だけでにやっと笑った。 ―――敵わないな 莉紗都はコーヒーを口に含みながら小さく安堵の息をついた。 千影が本当の意味で大人なのか、或いは、人の内に入り込む能力に長けているのか、それは分からなかったが。 ―――こんな人ばっかりなら、良いのに 千影に習い、ブラックのまま流し込んだコーヒーは、飲みなれた砂糖の味がしなくて、やはり苦かった。 パフェを食べ終えた潤と輝愛の二人は、『もっと!』と喚いていたが、千影に『夕飯が食えなくなるだろ』と、まるで子供の様に叱られて、頬を膨らませていた。 ◇ 千影が会計を済ませて、先に店内から追い出しておいた三人と合流する。 莉紗都は慌てて潤と自分の分の代金を払おうと、財布を開こうとした。 瞬間、千影から結構強烈なでこピンを食らう。 「こーゆー時は、素直にご馳走様って言えば良いんだよ」 「・・・・・ごちそうさまです」 痛むおでこをさすりつつ、深くおじぎをした。 子ども扱いをされて、恥ずかしくて赤く染まった顔を隠したかったから。 でも、その子ども扱いも、そんなに悪い気はしなかった。 「じゃーね潤ちゃん、また遊ぼうね」 「輝愛ちゃんもまたね」 幼稚園児の様な会話をして、大事そうに袋を抱えている潤と輝愛。 その袋の中身は・・・・言うまでも無いだろう。 「帰るぞ、トーイ」 「うん」 声をかけられ、千影の左脇にぴとっ、とくっつく彼女。 「ちーちゃんもまたね」 「―――うん」 輝愛の笑みに、僅かにではあったが口元を緩めて答える莉紗都。 「じゃあな」 千影はそう言うと、莉紗都の頭をぽん、と撫でた。 千影の瞳には、例の意地の悪い笑みでは無く、優しい微笑がたたえられていた。 最も、それは間近でそれを見た莉紗都にしか分からないようなものだったが。 「千影さん、俺は?」 潤も横から頭を出してくる。 「ごちそうさまも言えんような奴はこうだ!」 千影はわしゃわしゃわしゃ、と潤の頭をかきむしる。 「ひでー」 潤の声を背に受けながら、千影と輝愛は歩き出した。 莉紗都は、何とはなしに、しばらく二人の後姿を眺めていた。 「ちー」 「何だよ」 「楽しかったね、一日ですぐ仲良くなれちゃった」 にっこり笑う潤の顔を見て、莉紗都は苦笑した。 「―――そうだな」 呟いて、踵を返して歩き出した。 「帰ろう、潤」 「うん」 潤が駆け寄ってきて、横に並ぶ。 これで、良い気がした。 この日常でも、良い気がした。 ―――ゆっくりで、いいよな。 千影のあの笑みが、 『急いで大人にならなくて良いんだよ』 と言ってくれた様に感じて、莉紗都は何だか嬉しかった。 「なんかちー、嬉しそう」 「まあな」 「何でー?」 「秘密」 いつものいたずらっこの様な顔で覗き込んでくる最愛の恋人にも、教えたくない事だってあるのだ。 「けちんぼ」 「男同士の秘密だからな」 「俺だって男じゃん、ねー、ちー」 潤の声に背中を押されながら、莉紗都は歩き出した。 ゆっくり、ゆっくりと――― ◇ 「あ、あたしと潤ちゃん、おそろいのやつ買ったの」 「どれ?」 帰宅して間も無く、にこにこ話しかけてくる最愛の娘分に、煙草をくわえた千影が歩み寄り、彼女の手の中にあったシャツを覗き込んだ。 ピンク地の半そでに、やたら不細工なイラストと、その上に達筆な文字で書かれた一文字。 「牛」 「・・・・お前、本当ある意味すごいよな・・・」 呆れる千影に、輝愛は微笑んだまま首を傾げた。 「まあ、良いって事さ」 苦笑して輝愛の頭をぽんぽん、と撫でる。 その彼に何かを感じたのか、彼女は彼を見上げ、 「カワハシ、何かあった?」 「ん?」 優しい声音で答える。 いつもより、顔が微笑んでしまうのも、あえてそのままにした。 「何か楽しそうね」 「んー」 輝愛に分かる位、態度に出ていたと言う事か。 その事実に少し驚きつつ、彼女を見て笑って言った。 「いや、若い奴も、結構大変だなって思ってさ」 嬉しそうに苦笑する千影に、それが伝染したのか、輝愛も一緒になって笑った。 コラボ企画 終わり |
| こんぺいとうトップへ戻る |
| あとがき 勝手にコラボ企画です(え) 彩佳さんのサイトの「気持ちの在り方」全部読んでから読むとおもろいと思います(笑) キャラを快く貸してくださった彩佳さんに感謝感激雨霰!! でもなんか彩佳さん原作の雰囲気ぶちこわしてますが(汗) どうやってもこんなんになっちゃいました・・・ あは。 |