| ■一つ屋根の下 5題 THE LONGEST■ 近くて遠い、あなたとの距離。 そう、いつも同じように生活して、 毎日『おはよう』から『おやすみ』まで。 いつも一番近くに体温を感じて、気配を感じて、呼吸を感じて。 なのに、やっぱり遠い、あなたとの距離。 ◇ 久々に外食をした帰り道。 彼が振り返った。 「どうした?」 あたしはただぷるぷると首を振って答える。 まるで心の内を見透かしたように、あなたは苦笑に近い微笑みを湛えて、あたしの頭を撫でる。 彼の行きつけのお店で、彼の古くからの友人がたくさん集まるお店で。 やっぱりあたしは思い知る。 この年の差の分だけちゃんと、おいていかれてるんだ、と。 一度でも口に出したことは無いけれど、多分あの人の答えは分かり切っているから、言わない。 あたしの知らない昔の話を、あたし以外の人間は全員さも当然のように話していて。 それはつまりそれだけ彼と彼らの付き合いが長いと言う照明であって、だからどうと言う事も無い筈なのだけど。 やっぱりどこか、置いて行かれたようで、寂しい、 と、思う自分がいる。 あたしがもう少し早く生まれていたら、こんな感覚味わわなくて済んだのかしら? でもそうしたら、彼と出会う事すらも無かったのかも知れないと思うと、 どっちを選ぶかなんて、最初から決まっているのだ。 だからあたしはきっとこれからも、こんな感覚を味わうんだろうと、思う。 「輝ー愛」 彼が珍しく優しい声であたしの名前を呼んだかと思うと、酔っ払っているのか少し普段より暖かい手で引き寄せられる。 「カワハシ?酔っ払ってる?」 「酔ってる。でも頭の中までは酔ってない」 彼の言葉の意味が分からずきょとんとすると、再び彼は笑って、今度はあたしのおでこで小さく唇が音を立てる。 「カワハシ?」 「一緒に、帰ろう」 言うなり彼はあたしの手をしっかりと握って歩き出す。 なんだかひどく安心した。 そう、この温もりを与えられただけで、生きる意味すら全うしてしまうのではないか。 なんて、思ったりした。 今夜も彼の声を聞いて休もう。 そして明日は、またいつもの様に彼をあたしの声で起こすのだ。 世界で一番、近い距離で。 こんぺいとう読みきり THE LONGEST 終わり |
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| あとがき 初お題挑戦です。 5題と少な目ですが、管理人にはこれが限界かも(え でもお題は楽しい事を確認(w またやるかも知れません |
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