| ■BGM 2 ー愛し子の 墓辺吹く風 静かなれー 14■ 『カイは、お前の様な栗色の髪の毛だったのだよ』 あの言葉が頭の中でリフレインしっぱなしで、あまりよく眠れなかった。 ◇ 「ふ・・ああぁあ〜」 眠い目こすりながら、盛大なあくびを一つ。 どうにもこうにも寝付けないうちに、夜が明けてしまった。 「ちっくしょ。あのクソッタレ国王が変な事言うから、練れなかったじゃねーか」 そう嫌味を吐いてみるも、やはり脳髄にこびり付いたままの、あの台詞。 カイの髪の毛は栗色だった。 それが今は、あんなにまばゆいばかりの金髪だ。 だが、それに一体何の意味があるというのだ。 さっぱり分からん。 ただ――― カイの双子の妹のイリスとやらは、どうだったんだろうと、気になった。 「ん?」 ふと目線だけを上げると、少し先にグレンフォードの姿が見えた。 イリスと恋仲だった、グレイ。 俺は一瞬考え込んで、すぐに彼に声をかけた。 「をーい、グレイー」 呼ばれた彼は、朝だと言うのにちっとも眠そうな気配を見せない、俗に言う『さわやかな笑顔』で微笑みかける、 「ああ、おはようございますルカさん。今日もお元気そうで・・・・・はないですね」 「をを、完璧寝不足だ。眠い」 朝の挨拶の常套句を撤回せざるを得ないくらいの俺の姿に、グレイは『あらら〜』と笑って、 「じゃあカイ様も寝不足ですね、起こさないようにしましょうね」 「は?」 「それにしても王宮でだなんて、案外ルカさんも大胆ですねー」 心底嬉しそうに、にっこりしてくれやがる奴。 何だそれは何か?俺がカイに夜這いぶっこいたとでも言うのか? カイに夜這い・・・・ ・・・・ ・・・・ 「って、ちょっとまて―――!!何の話だ!?俺は何にもしてねーぞ!?」 「知ってますよ。ほんの可愛い冗談ですよ」 「どこが可愛いだ、どこがっ!!!」 くっそー、見下ろされてる分(どうせ俺のほうが小さいですよ)どうやったって形成的に不利にある。 怒鳴りついでに軽く出した右の拳は、案の定簡単に受け止められてしまう。 「まあ、それだけ元気があれば、寝不足も大した事無いみたいですね」 「あー、でもやっぱ眠いわ。目覚ましに風呂でも行こうかと思うんだけど、お前も来る?」 再びあくびをしながら聞いた俺の問いに、いささか驚いたように目を見開いたが、一瞬考えてすぐにまたいつもの笑顔に戻る。 「―――そうですね、お供しましょうか。聞かれたくない話も、出来ますしね」 「なんだそりゃ」 彼より先に廊下を歩きながら、内心なんて奴だと舌を巻く。 そんな素振りは見せないようにしたつもりなんだが、グレイにはお見通しだったらしい。 ・・・手強いなぁ、案外。 「それに」 俺の背後で僅かに黒い色を含んだ声がする。 「二人っきりで風呂なら、ヤる事は一つですよね。ルカさんがまさか両刀だったとは・・いやはや、ちょっとびっくりです」 なんてぬかしやがって。 「ざけんなー!俺はノーマルじゃ!」 「またまた、良いですよ照れなくても。この国じゃ別に同性愛も罰せられませんから」 人当たりのいい笑みで、ぱたぱたと手を振る。 「あほか!俺が好きなのは――」 「カイ様だけ、ですか?」 「!」 さっきとは打って変わって真面目な顔で。 「・・・・・・・・とっとと風呂行くぞ」 後ろ頭をばりばりかきむしりながら再び歩き出す。 ちくしょ、何かこいつ苦手かも・・・ 「素直じゃないですねぇ」 何て声が聞こえたが、もう俺はそれに答えてやることはしなかった。 ・・・喋り出したら、乗せられた勢いで、何言うか分かったもんじゃないからってのは、秘密。 ◇ お互い腰にタオルを巻いて、王宮の来客専用(?)だかの湯船に浸かる。 最も、でかすぎて何がなんだか分からん事になってはいるが。 「・・・・どーでもいいけど、何で王宮とかってのはこーも無駄になんもかんもでかいんだ・・」 うちの故郷の風呂は、当然だがもっと普通サイズだったし、宿泊する宿に温泉があったとしても、こんなバカみたいなサイズではなかった。 「さてねぇ、権威の象徴だったりするんじゃないですかね」 頭に愛用の眼鏡を器用に乗っけたままで、グレイが笑う。 「ま、どーでも良いじゃないですか、そんな事は」 「そりゃそーか」 「そうですよ、せっかくルカさんと二人きり、しかもお互い裸なんですから。そんなつまらない話は後にして、ちゃっちゃとやることやって・・」 「だー!何をやるんだ何を!風呂に入る、それで十分だろーが!」 こうも再三からかわれると、実はこいつ本気なんじゃないかとか思ってしまう。 確かに外でナンパされた事は数あれど、明らかに裸で男と分かる出で立ちで、迫られるのはいかがなもんか。 「まあ、冗談はこれくらいにして・・」 「お前どこまでが本気か分かりにくいぞ・・」 俺の呟きに、彼は一つ微笑んで見せ、 「さて、で、何をお話したいんでしょうかね?ルカさん?」 俺はふぅ、と気付かれないくらいに息を吐き出す。 「お前さんと、あいつの事だよ」 回りくどく言おうが、どうせすぐ感づかれてしまうだろうと思い、率直に簡潔な言葉だけで述べる。 凡そ、普通ならそれだけじゃ通じないようなくらいの、言葉数で。 「イリス、ですか?」 「―――ああ」 いつもより、深い声で、俺は答えた。 BGM 2 ー愛し子の 墓辺吹く風 静かなれー 15 へ続く >> |
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| あとがき あああ、久々すぎて本気で申し訳ないです しかも中途半端な・・・・(汗 なんか長いので大変です。 ルカさんのおばかっぷりがそろそろ書きたいです(え |